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コロナ禍の影響で2020年のIT市場は前年比2.8%減の5兆6834億円まで落ち込みました(IDC JAPAN調べ)。しかし、2021年はテレワーク対応やデジタルトランスフォーメーション(DX)などのニーズが増加しており、IT業界の市場規模はプラス成長に戻る見通しです。
この記事では、2021年になってから注目度が高まっているITトレンドを紹介していきます。第1回はローコード・ノーコード。今となっては、あらためて聞きにくい基本的な概念や今後の見通しについて解説します。
ローコード・ノーコードは、名前の通りJavaやC言語といったプログラム開発言語を全く(ノー)、あるいは必要最小限(ロー)しか使わずにソフトウェアやアプリケーションの開発を行う手法や支援ツールを指します。ビジネスニーズだけでなく、子供向けのプログラミング教材やホームページ作成サービスなど、多くの場面で使用されています。
ミック経済研究所による市場調査レポートによると、2023 年度にはローコード開発市場は4,560 億円に拡大する見通し。CAGR(年平均成長率)は16.3% と予測されています。ガートナー社は、2024年までに世界で開発されるアプリケーションの65%がローコード・ノーコードで開発されると予測しています。
ローコード・ノーコードが急速に注目度が高まっている理由は、以下の3点です。
①誰でも、簡単に作業ができる
基本的なプログラミングの知識は必要ですが、ローコード・ノーコードなら専門的なコーディングの知識を持っていなくても開発が可能です。そのため、2025年以降に訪れるIT人材不足の解消法のひとつとして期待されています。
②即時に対応が可能でコストダウンも実現
システムトラブルや改修が必要になった時、以前ならIT企業に依頼する必要があったため、時間と費用がかかりました。しかし、ローコード・ノーコードで開発されたシステムであれば、ユーザーがその場で修正できます。現場からのフィードバックも即時に反映できるため、変更作業によるビジネスへのネガティブな影響がなく、業務効率化につながります。ユーザーが対応できるため、コストダウンにもなります。
③ブラックボックス化の解消
使っているシステムが、ベンター企業に丸投げで開発・運用されている場合、ユーザー企業にとってはブラックボックス化していることが多々あります。しかし、専門的な知識が不要なローコード・ノーコード開発なら、多くの人がシステムを理解できるため、ブラックボックス化を防ぐことができます。多くの場合、ブラックボックス化したシステムの保守や修正には多額の費用と時間がかかりますが、そういったリスクも解消されます。
ローコード・ノーコードが浸透すると、どのような変化が訪れるのでしょうか。今、予測されているのは次のような未来です。
DXの加速
現場で開発・修正ができるため、まずやってみる、作ってみるというアジャイル開発が誰でも可能になります。そのため開発のスピードも上がり、DXが加速することが見込まれています。DXに注力しているソルクシーズでも、ローコード・ノーコードの今後の動きに注目しています。
ITベンダーの役割が変化
誰でもソフトウェアやアプリケーションを開発できるようになると、IT ベンダーの役割は変わっていくでしょう。従来のように顧客の悩みを聞き出して提案・開発・保守を行うだけでなく、顧客企業の業務プロセスに関する改善のアドバイスや、必要となるIT ツールの選定などのコンサルティング、エンドユーザー開発を行うための支援といった「ユーザーのDXサポート」という役割に変わっていくと予想されています。
それに合わせ、システムエンジニアの採用基準や求人条件、転職市場も変わっていくでしょう。プロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダーといった「チームをまとめて取り組みを推進していく力」が今まで以上に重視されるはずです。
ITの民主化
今までは、充分なIT予算を確保できる一部の企業が、より質の高いITの恩恵に預かることができました。しかし、低コストでシステムを開発できるようになると、これまで以上に利用しやすいサービスが増加します。これを「ITの民主化」といいます。
システムエンジニアは、ハイレベルな技術を武器にするか、コミュニケーション力や企画力、プロジェクト管理スキルなどをベースにキャリアアップするかの二択を迫られるのではないでしょうか。自らのキャリアについて考えたいエンジニアのみなさんは、システム関連の技術の最新事情を押さえておくようにしましょう。
次回は2021年ITトレンド注目の「ハイパーオートメーション」について紹介します。
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